旧伊原木家住宅

主屋南面(正面)
主屋南面(正面)
主屋北面
主屋北面

*岡山県近代和風建築 第3号(平成25(2013)年発行)」からの転載です。

分類:住宅(一般住宅)
構造形式/建築年代:主 屋 木造二階建、入母屋造一部切妻造、桟瓦葺/明治29(1896)年
衣装蔵 木造二階建、切妻造、本瓦葺/明治
<沿革>
伊原木家は、幕末期から西大寺で商業を営み、小間物、雑貨の販売を行った。
高瀬舟が行き来する西大寺の地の利を得て繁盛し、明治に入ると、呉服の卸と小売を始めたほか、田地を集積し、
金融業にも手てを広げ蓄財した。明治29年(1896)、二代目伊原木藻平は呉服業を甥の久三郎(三代目藻平)に譲った。
久三郎はそれまで個人経営であった呉服店を会社組織に変更、合名会社伊原木呉服店(後の天満屋呉服店)を設立した。
この年、二代目藻平は店の隣に住宅を新築して移っており、これが本調査対象物件である。
現在、主屋は天満屋西大寺寮、衣裳蔵は西大寺文化資料館として管理、使用されている。
<建物の概要>
主屋の屋根は桟瓦葺で、間口が8間半奥行が6間半で面積約140坪である。
和室は大小合わせて18室あり、床の間付きの和室はそれぞれ特徴を持たせている。
特に、1階和室10畳の出書院付きの床の間は、2間半の幅の中に、畳床一間、違棚と地袋一間半という格式を上げた
形式になっており、他の部屋と差別化されている。
天袋の襖は、気品のある金色に花柄模様で仕上げられ、この室の艶やかさが表現されている。
違棚の海老束は本来30㎜角の材料を使用するが、1枚板をくり貫いたものが束となっており、当時としては極めて珍しいものである。
(後略)
<まとめ>
旧伊原木家住宅は、百年以上にも及ぶ年月を経ても建物の価値は薄れておらず、当時の建物を造る思いが込められた大工仕事が
随所で見られる。
特に欄間、床の間等、指物大工の造形美は今の時代でも色あせない奥ゆかしさが感じられ、本来の建築美の原型を今に残している。
また、玄関の採光窓、煉瓦造のカマドと煙突、雨戸の鉄製レールなど、近代ならではの特徴や造作がよく保存されており、
近代和風建築として価値が高いと判断される。

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